こんにちは、元塾講師・現プロ家庭教師のひかるです。

塾講師からどんな転職先があるの?
塾講師のセカンドキャリアについて、悩んでいる人も多いと思います。
「セカンドキャリア」はスポーツ選手の引退後の仕事や、定年退職後の仕事を意味する言葉でした。
最近では、「人生の節目でのキャリアチェンジ」を指すことも増えてきました。
それだけ転職が一般的になってきたということですね。
今回の記事では、
- 塾講師の転職先はなぜ塾が多いのか
- 塾講師でキャリアチェンジするのはどんな人か
- 他業界・他業種でも活かせる塾講師のスキル
- 塾講師に向いている転職先7つ
がわかります。
私自身は正社員の塾講師を退職して、独立・開業しました。
その体験や、周囲の塾講師たちの転職先なども含めてお伝えします!
塾講師からの転職先で多いのはやっぱり塾

私のまわりの塾講師たちの転職先として、もっとも多いのはやっぱり「塾講師」です。
みなさんの周囲でも、塾業界・受験業界内で転職する人が多いのではないでしょうか?
なぜ塾講師は同じ塾業界で転職するのでしょうか?
その理由は…
- 塾講師という仕事が好きだから
- 知識・スキルが活かせるから
- つぶしが効かないから
の3つだと私は考えています。
掘り下げて見ていきましょう。
塾講師という仕事が好きだから
塾講師を続けるのは、何より塾講師という仕事が自分に合っているからでしょう。
私の場合には「成績を上げるための工夫」が好きです。
時間があると「どうやって伝えたらわかりやすいかな?」と授業の組み立てを知らず知らず考えてしまっています。

「趣味=授業準備」です

変態やな
「算数の難問を考えるのが好き」、「入試問題の分析が趣味」という受験マニアのような講師も多いでしょう。
私の知り合い塾講師は「(塾の仕事が)天職ですわ」と言っていました。
塾沼・受験沼にどっぷりはまっている人は、この業界から出る気はありません。
ですので、別の塾に転職するときも「塾講師という仕事がイヤになった」という人はいないでしょう。
塾講師という仕事にではなく、
- 会社の方針がイヤ
- 授業以外の事務作業が面倒
- 指導システムが自分の教え方に合わない
- 人間関係がガマンできない
- 自分の実力を認めてもらえない
というように会社や人間関係への不満で、退職・転職する人が多いと私は感じています。
塾講師はよく言えば「こだわりが強い」、悪く言えば「変わり者」…
そんな職人気質の人が多いです。
※塾講師が退職する理由については、こちらの記事もどうぞ↓
知識・スキルが活かせるから
知識・スキルを活かしやすいから、同じ塾業界・受験業界で転職する人は多いでしょう。
これは塾講師に限ったことではなく、どの業界・職種でも同じです。
1つの業界内でキャリアアップしていくのは、自然なことですね。
より自分の知識やスキルを活かせる会社、より待遇の良い会社を求めて、積極的に転職していく人はたくさいんいます。
つぶしが効かないから
逆に、知識・スキルを他の業界・職種では活かせないから、塾業界・受験業界内にとどまらざるを得ないという理由もあるはずです。
塾講師としての経験は、他の業界・職種では活かしにくいと、よく言われます。

いわゆる「つぶしが効かない」という問題です
塾講師のメインの仕事は、子どもたちへの指導です。
ですので、教科の知識や指導のテクニックを日々磨いています。
でも、教科の知識や指導のテクニックは、他の業界・職種ではなかなか活かす機会がありません。
消極的な理由ですが、塾講師の誰もがうっすらと感じている不安でもあります。
塾講師からキャリアチェンジするのはどんな人?

では、塾講師からキャリアチェンジするのは、どんな人でしょうか?
つぶしが効きにくいけれど、他の業界・職種にチャレンジするのは、
- 他にやりたいことがある人
- 予期せぬ偶然
- もう塾業界にうんざりしてしまった人
でしょう。
他にやりたいことが見つかった人
昔からやりたいことがあり、それを本職する人もいるでしょう。
塾講師をしながら、お金を貯め、知識・スキルを磨く。
そして、良いタイミングが来たので、「夢」のために塾講師を退職する人です。
私の知人で塾講師として経験を積んだ後、教員免許を取り直し、学校の教員になった人がいます。
自分の昔からの夢を叶えられるって、めっちゃうらやましいですよね✨
予期せぬ偶然
中には、「突然やりたいことが見つかった!」という人もいるでしょう。
実業家の本田直之さんは、著書『本田式サバイバル・キャリア術』という本の中で次のように書かれています。
アメリカのスタンフォード大学、ジョン・クランボルツ教授による「プランド・ハプンスタンス(Planned Happenstance Theory)」という論があります。
『本田式サバイバル・キャリア術』(本田直之)より引用
直訳すれば「計画的な偶発性のセオリー」といった意味ですが、教授が数百人に対して「今のキャリアはどうやってできましたか?」という質問をしたところ、80パーセントの人が「予期しない偶然でできた」と答えているそうです。
つまり、キャリアって計画通りには進まないということです。
知人に誘われて、未経験の業界・職種に飛び込んだという人もいるでしょう。
私のように体調を崩して、退職せざるを得なかった人もいるはずです。
小説家の村上春樹さんは、神宮球場で野球を観戦しているときに、「僕にも小説が書けるかもしれない」と感じたというのは、有名な話です。
一回裏、高橋(里)が第一球を投げると、ヒルトンはそれをレフトにきれいにはじき返し、二塁打にしました。バットがボールに当たる子気味の良い音が、神宮球場に響き渡りました。ぱらぱらというまばらな拍手がまわりから起こりました。僕はそのときに、何の脈絡もなく何の根拠もなく、ふとこう思ったのです。「そうだ、僕にも小説が書けるかもしれない」と。
『職業としての小説家』(村上春樹)より引用
みなさんの周りでも、計画通りにキャリアを積み重ねている人は少ないのではないでしょうか。
人とのご縁や、やむをえない事情などで、転職やキャリアチェンジする人はけっこう多いものです。
もう塾業界にうんざりしてしまった人
また、塾業界に愛想が尽きたという人もいるでしょう。
塾業界・受験業界は、ブラックの業界だとよく言われますよね…
- 入試の前には休みがない
- 代講を頼まないといけないので有給休暇を取りにくい
など、とにかく「休めない…」という会社は多いです。
※塾講師の仕事のきつさ・しんどさについては、こちらの記事もどうぞ↓
また、生活リズムが原因で辞めたい人もいるでしょう。
塾講師は昼過ぎに勤務がスタートして、22時頃に退勤です。
でも、子どもの送り出し・保護者の対応、戸締りなどで、家に帰る頃には日付が変わっているという人も多いですね。
- 男性ばかりで出会いがない…
- 婚活しようとしても生活リズムが合わない…
- 家に帰ったら妻と子は寝ている…
- 土日も勤務で子どもの学校行事に参加できない…
というように、特殊な勤務形態ゆえに、世間とズレが大きいです。
もう「塾業界・受験業界とは付き合いきれない!」と、キャリアチェンジする人もいるでしょう。
※「塾講師、独身多い説」についてはこちらの記事もどうぞ↓
他業界・他業種でも使える塾講師のスキル

「つぶしが効かない」塾講師ですが、他の業界・職種で、どんなスキルが活かせるでしょうか?
他の業界・職種でも使える塾講師のスキルは…
- 営業力
- プレゼン力
- コーチング力
- 面倒見の良さ
の4つだと私は考えます。
1つ1つ見ていきましょう。
営業力
どんな転職先でも「売る力」は求められます。
塾講師のときに、営業力を鍛えていた・利益を上げる経験をした人は、そのスキルが活かせるでしょう。
- 入塾説明でのクロージング
- 追加受講の提案
- 退塾を希望する保護者への説得
などで、会社への売上に貢献していると思います。
中には、入会クロージングのマニュアルや、退塾を阻止するための問答集などがある塾もあります。
もちろん会社のマニュアルを持ち出すのはNGです。
営業マニュアルを頭と体に叩き込んでいれば、転職先で活かせるスキルでしょう。
※塾講師が退職するときにやるべきことについては、こちらの記事もどうぞ↓
プレゼン力
塾講師という仕事は、教科の内容を、
わかりやすく面白く伝える仕事
です。
子どもたちにわかりやすく面白く伝えるために、創意工夫をします。
- 話の順序を組み立てる
- 板書を工夫する
- ジェスチャーで惹きつける
- 要点をおさえた教材や問題を作る
などです。
教科の知識はもちろん別の業界・職種では使えません。
でも、相手に伝えるために創意工夫なら、他の世界でも活かすことはできます。
プレゼン資料を工夫するなど、社内や社外に対して「わかりやすく面白く」伝えることができるでしょう。
コーチング力
塾講師はただ子どもたちに教えるだけではありません。
子どもたちのやる気を引き出し、保護者を啓発しなければならないこともあります。
子どもたちや保護者の軌道を修正するときに、真っ向から否定するわけにはいきません。
相手の考えや気持ちをふまえて、相手の能力や可能性を引きださなければなりません。
いわゆる「コーチング」ですね。
講師に対して、コーチング研修をしている塾もあります。
業務を通してコーチングを身につけている人は、そのスキルを転職先でも活かせる可能性があります。
面倒見の良さ
特に抽象的な能力になってしまいますが「面倒見の良さ」も、塾講師のウリと言えます。
入試合格という目標に向けて、指導し、面談し、補習し、あらゆる手を尽くします。
1人1人の生徒に対して成績に責任を持たなければなりません。
そのためには、
- 子どもたちの変化に気づく
- 保護者にこまめに連絡を取る
ことが必要になります。
塾講師は「しゃべる」仕事ですが、優れた講師は「聞く力」も持っているものです。
そのような面倒見の良さは、転職先でも顧客に対して活かせる部分もあるでしょう。
転職エージェントに強みを見つけてもらう

塾講師のスキルをまとめましたが、自分にはどんなスキル・強みがあるのか、自分ではわかりにくいものです。
自分の強みだと思っていたスキルは、他の業界では通用しない…
逆に、当然と思っていたスキルが、他の職種で重宝されることもあります。
自分のスキルや強みを客観的に評価してもらうためには、
転職エージェントを利用する
のもおすすめです。
一般的な転職サイトは、自分で求人を探し、自分で転職活動を進めなければなりません。
でも、転職エージェントなら、キャリアアドバイザーがサポートしてくれます。
転職のプロが、職務経歴書や自己PR、面接をサポートし、求人を紹介してくれます。
ですので、自分の希望に合った案件や、自分では探せなかったような非公開求人と出会える可能性が高くあります。
転職エージェントは企業側から紹介料を得ているので、転職者は無料で利用できます。
自分のスキル・強みを棚卸しするために、転職エージェントを併用することがおすすめです。
※塾講師からの転職におすすめの転職エージェントはこちら↓
塾講師におすすめの転職先7つ

では、塾講師としての経験を活かしやすい転職先はどんなものがあるでしょうか?
塾講師がスキルを活かしやすい転職先は…
- 塾業界・受験業界
- 学校の教員
- 教材会社・出版社
- インストラクター・講師職
- 営業・販売職
- クリエイティブ・職人
- 独立・開業
の7つだと私は感じています。
塾業界・受験業界
さきほど紹介した通り、塾講師のほとんどが同じ業界内で転職します。
私の周囲の塾講師もほとんどが、別の塾に転職し、塾講師を続けています。
自分の指導スキルや知識を活かして働き続けることができますね。
より待遇の良い会社、働きやすい会社に移っていきます。
学校の教員
中には、塾講師を辞めて、学校の教員になった知人もいます。
教員免許を持っていなかった人は、わざわざ免許を取り直して転職しました。
教師は、勉強だけでなく、子どもたちの生活全般にも目を配らなければなりません。
生活リズムも大きく変わります。

塾講師は夜型やもんな
教員免許を持っている人、教員になりたいという志を持っている人は、塾講師の指導スキルを活かして転職できるでしょう。
※英語教員に特化した転職エージェントもあります。こちらの記事もどうぞ↓
教材会社・出版社
塾講師や子どもたちが使う、教材を作る会社・売る会社を転職するのもアリでしょう。
自分にとって使いやすい教材なら、自信と熱意を持って売れます。
また、教材を作るのが好きな場合には、教材づくりに携われるかもしれません。
自分の知識や指導スキル、営業の力を発揮しやすいでしょう。
インストラクター・講師職
「教える」ことが好きな人は、塾・予備校という場にとらわれる必要はありません。
自分の趣味や特技を生かして、専門知識・テクニックを教える職場はいろいろあります。
- 専門学校
- スクール
- スポーツ教室
など、子どもだけでなく、おとなを相手に「教える」仕事はたくさんあります。
また、企業相手に研修を行う講師職などもあるでしょう。
営業・販売職
顧客とのコミュニケーションが得意な人は、営業や販売の仕事に就くのもいいでしょう。
相手の懐に飛び込み、顧客の悩みを聞き出し、商品を売る。
営業スキルがある場合には、営業・販売職に転職するといいですね。
クリエイティブ・職人
塾講師は自分の授業へのこだわりが強い人が多いものです。
自分のこだわりを追究して、コツコツと作業をするのが得意な人は、何かを作り上げる仕事に就くといいかもしれません。

逆に単調な事務作業は苦手かも…
手先を使ったものづくりだけではありません。
IT系の知識がある場合には、ウェブサイトを作るwebデザイナーなども、自分のスキルを活かせるでしょう。
職人気質の塾講師は、クリエイティブ・職人系の転職先が向いていると、つくづく思います。
独立・開業
「転職」というと別の会社に移ることを最もイメージしますが、「独立・開業」という手もあります。
会社に雇用される立場ではなく、個人事業主(フリーランス)という働き方です。
規模が大きくなれば、法人化して会社を経営する人もいます。
私自身はフリーランスのプロ家庭教師として、活動しています(個人事業主)。
※拙著『プロ家庭教師として生きていく方法』はこちら↓
kindleアプリがあれば、お手持ちのスマホ・タブレットでお読みいただけます。
「雇われて働くよりも自分でかじ取りしたい」という人は、独立・開業を目指してもいいでしょう。
まとめ:【塾講師の転職先は?】塾講師のセカンドキャリアを元塾講師が考えてみた
塾講師のスキルは「つぶしが効かない」と言われます。
塾業界・受験業界内で、自分に合ったキャリアを見つけていく人は多いです。
一方で、志を持ち、あるいは、塾業界に愛想を尽かせて、キャリアチェンジする人もいます。
私のように、独立・開業して個人事業主になる人もいます。
自分に合ったキャリアを見つけられますように!