こんにちは、プロ講師のひかるです。
個別指導の正社員ってどんな仕事?
ふつうの塾講師とは違うの?
そのように悩んでいるかたも多いのではないでしょうか?
今回の記事では…
がわかります。
もしかしたらみなさんがイメージしている「塾講師」とは、けっこう違うかもしれません。
- 塾業界に就職しようと考えている人
- 塾業界に転職しようとしている人
の参考になれば幸いです。
元塾講師・プロ家庭教師の私が解説します
個別指導の教室長の仕事内容は?
塾は大きく分けて、「集団指導」と「個別指導」に分かれます。
集団指導は、学校のようにクラス全体に対して授業をするスタイルです。
黒板やホワイトボードの前で授業している姿がイメージしやすいですよね。
一方、個別指導は…
講師:子どもが、1:1か、1:少人数で学ぶ
塾です。
ブースで区切られた席で、講師が子どもたちの隣について指導するスタイルです。
CMとかチラシでよく見かけるやつやん
ただ、実際に指導を担当するのは、主に大学生のアルバイト講師たちです。
では、個別指導教室の教室長(正社員)は、いったいどんな仕事をしているのでしょうか?
個別指導の教室長(正社員)の仕事は…
- 子どもたちへのアドバイス
- アルバイト講師のマネジメント
- 保護者とのコミュニケーション
- 教室の売り上げ確保
の主に4つです。
1つずつ見ていきましょう。
子どもたちへのアドバイス
さきほど子どもたちを直接指導するのは、大学生のアルバイト講師だとお伝えしましたが、塾に通う生徒たちのことを、教室長ももちろん把握しておかなければなりません。
教室長は子どもたちの「モチベーター」に徹します。
モチベーターとは…
人にやる気(モチベーション)を起こさせ行動を促す要因、という意味で用いられることのある語。人を鼓舞してやる気を出させることに長けた人物、人に行動を促すための技術や知識を持った人物を指して用いられることが比較的多い。
weblio辞書
とされています。
つまり、個別指導の教室長は、子どもたちが勉強しやすくなるように働きかけるのが、仕事の1つということです。
子どもたちが塾に通いに来るのは…
といった目的があるからです。
でも、実際には、お母様・お父様に無理やり連れられて塾にくる子も多いものです。
勉強へのモチベーションが高くない生徒も、塾の門をたたきます。
そんな子どもたちを、やる気にさせ、勉強へ向かわせるのが、個別指導の教室長なんです。
特に個別指導は、集団指導にはマッチしない事情を抱えた子が来ます。
- 前の学年の内容が定着していない
- 集団塾の入塾テストで断られた
- 自分からは質問しにくい
- 友だちがいる塾には行きたくない
- 部活動が忙しく個別指導しか通えない
そういう1人1人に合わせた、プランを立てたり、声掛けが必要になってきます。
教室長が子どもたちを直接教えることはない?
基本的には、アルバイト講師が子どもたちの指導を担当します。
ただ、アルバイトの講師が、急に出勤できなくなった場合、教室長みずから指導することもあり得ます。
会社の方針によっても違ってくるので、志望している企業に確認してみるといいでしょう。
アルバイト講師のマネジメント
アルバイトの講師は、ほとんどが大学生です。
中には、社会人の方、主婦・主夫の方もいらっしゃいます
そのほぼ全員が、指導経験がありません。
指導を経験しても、大学を卒業すると、アルバイトもやめてしまいます。
常に、講師の入れ替わりがあるんですよね。
教室長が、アルバイト講師を研修をして、育てなければなりません。
熱心な講師もいれば、あまり熱心でない講師もいます。
ハイレベルまで教えられる講師もいれば、そうでない講師もいます。
自分から報告・連絡・相談してくる講師もいれば、しない講師もいます。
あれ?
生徒と同じやん
と感じたかたも、多いはず。
そう、子どもたちが勉強しやすいように導くのが、教室長の仕事だったように、アルバイト講師たちが働きやすいようにマネジメントするのも教室長の仕事です。
また、大学生のアルバイト講師たちは成人しているとはいえ、まだ社会人としての意識が育っているだけではありません。
子どもたちへのセクハラ・パワハラ、個人的な交際などがないように、目は光らせておく必要はあるでしょう。
プロ講師専門の個別指導もある
ほとんどの個別指導が、アルバイトの講師を雇います。
ただ、中には、プロ講師を専門とした個別指導も存在します。
プロ講師は指導経験や合格実績があり、プロ意識があります。
ですので、経験が浅い大学生アルバイト講師とは違って、指導面での研修などはあまり必要ないでしょう。
ただ、プロ講師は自己主張が強い人が多いです。
よく言えば、個性的。
悪く言えば、クセがすごい!
こだわりを持って指導している人も多いので、プロ講師をまとめるのは、教室長として骨が折れるでしょう。
複数のプロ講師が1人の生徒を担当する場合、意見が衝突して「船頭多くして船山に上る」状態になることもあります。
そんな場合、教室長がバランスを取る必要があるでしょう。
保護者とのコミュニケーション
保護者とコミュニケーションを取ることも、教室長の大切な仕事です。
保護者への対応は、アルバイトの大学生に任せることはできません。
アルバイト講師が子どもたちの指導している間、教室長は保護者と面談していることが多いです。
面談の内容はさまざまです。
- 入塾(入会)の面談
- 定例の懇談会
- 受験生の進路相談
- 退塾(退会)の相談
塾に通っているのは子どもたちですが、塾に通わせる決定権を握っているのは保護者です。
保護者の期待に添えるように、指導プランを作る。
保護者の期待が過大・過小であれば、修正する。
保護者の要望を聞き取り、子どもたちにフィードバックする。
子どもたちの塾での様子をお母様・お父様に伝え、ご家庭での学習方法を提案する。
このように、保護者とコミュニケーションを取り、「期待値」を常に把握しておくとこが大切です。
塾とご家庭の役割を分担しておくことも大切ですね
もちろん受験システムや進学先の学校の情報を、くわしく知っておく必要もあります。
教室の売り上げ確保
企業である以上は、利益を出さなければなりません。
個別教室で利益を出すためには…
単価 × 人数 × コマ数
を増やしていく必要があります。
【単価】は、1人あたりの授業料ですね。
一般的に学年が高くなるほど、また、受験生が高くなります。
【人数】は、生徒の人数です。
もちろん人数は多い方が、利益は出やすいです。
【コマ数】は、週や月ごとに受講してもらえる講座の数です。
週1よりも週2で通ってもらった方が、利益が出ます。
春期・夏期・冬期といった季節講習会では、コマの追加を提案します。
営業マンやん
ただ、人数やコマ数を増やすには、対応できる席数と講師の手配が必要になります。
そこが教室長の腕の見せどころです。
たとえば、1(講師)対2(生徒)で契約している生徒に、1対1で講師をつけると、塾としてはもったいないですよね。
生徒と講師の組み合わせを、うまくやりくりして、利益を最大にするのが教室長の役目です。
講師のムダな出勤を減らし、「人件費」をおさえるのが大切ですね
また、教室長は、複数の教室を掛け持ち(兼務)することもあります。
個別指導の教室長にはどんな人が向いている?
教室で授業をする一般的な塾講師とは、個別の教室長の仕事は別モノだとお伝えしてきました。
では、個別指導の教室長には、どんな人が向いているのでしょうか?
個別指導の教室長に向いているのは…
- 視野が広い人
- コミュニケーション能力がある人
- 営業力がある人
- 子どもを大切にできる人
の4つです。
掘り下げて見ていきましょう。
視野が広い人
教室長のことを「スクールマネジャー」と呼ぶ会社もあります。
つまり、教室をマネジメント(運営)するのが、教室長の仕事でしたね。
さきほど紹介した通り…
- 子どもたち
- アルバイトの講師たち
- お母様・お父様
という三者の間に立って、「成績アップ」や「志望校合格」といったご家庭の要望にこたえなければなりません。
視野を広く持ち、教室全体を見渡せる人が、個別の教室長に向いているでしょう。
コミュニケーション能力がある人
視野を広く持つだけでなく、実際に、子どもたち・講師・保護者に働きかけなければなりません。
子どもたちには、勉強しやすいように。
アルバイト講師たちには、働きやすいように。
お母様・お父様には、ご要望に応えられるように。
こちらから話すだけでなく、話に耳を傾けなければならないときもあるでしょう。
コミュニケーション能力がある人の方が、個別指導の教室長はやりやすいでしょう。
営業力がある人
同じくらいの規模の教室であっても、教室長の「営業力」で売り上げが違ってきます。
たとえば…
- A教室では生徒1人あたり平均1.2コマ/週
- B教室では生徒1人あたり平均1.8コマ/週
という受講率だったとします。
B教室では、ほとんどの子が週2回通塾。
A教室では、ほとんどの子が週1回通塾。
そんなイメージです
B教室の受講率は、A教室の1.5倍です。
すると、売り上げも、単純に計算して1.5倍になりますよね。
また、さきほど紹介した通り、子どもたちと講師たちのスケジュールをうまくマッチングすることで、講師に支払う人件費をおさえることができます。
A教室の教室長が、シフトのやりくりが下手だった場合、さらに売り上げに差がついてしまうことでしょう。
やっぱり営業マンやな
ご家庭にいかにたくさんの指導コマを提案し、受講してもらえるか。
つまり、教室長の営業力が、会社の売り上げ・利益を左右します。
子どもを大切にできる人
ただ、売り上げ・利益をアップさせようとして、指導コマを追加してもらおうとしても、保護者には見透かされるものです…
営業やな…
一方、お母様・お父様は、子どものことを大切にしてくれている講師も見抜けます。
自分の子を大切に見てくれている教室長が…
C君は関数が苦手やから、冬休みは関数を5コマで特訓しておこう
と言ってくれたら、5コマ追加して、苦手な単元を克服したくなりますよね。
きっと子どものことを大切にできる人は、アルバイトの講師や、保護者に対しても誠実に対応できるでしょう。
まとめ:個別指導の教室長に仕事内容と向いている人
集団指導の講師とは、仕事内容がまったく違いました。
ですので、求められるスキルも当然違ってきます。
入社してみて「想像していた業務とぜんぜん違った…」ということにならないように、集団指導と個別指導の正社員の仕事は、別物だと知っておきましょう。
授業の技術と知識を高めるのが好きな人は、集団部門の講師に向いているでしょう。
一方、マネジメントが得意な人は、個別部門の教室長に向いているでしょう。
ぜひ、ご自身に合った仕事を見つけてくださいね!